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ウチの子に限って・・・

2007/03/07
 それは、次男が小学一年だった頃のことだ。土曜日の夕方、お友達の
家へ遊びに行くと言う。「五時には帰るのよ!」そう約束させて出してや
った。

 5分遅れで帰ってきた次男。その日は何事もなく終わった。翌朝起き
てみると、次男が電話で誰かと話している。聞くと、昨日一緒に遊んだ
A君と話していたらしい。自分のゲームを知らないかとの事。次男は知ら
ないと言う。一応、間違ってゲームソフトを持ってきたかどうか、ズボ
ンのポケットを調べ、カバンを調べたがない。

 昼間、また電話が鳴った。A君がべそをかいて「**君いますか?」と
言う。ちょうど遊びに行っていなかったので、その事を言い「ゲーム、無
くなったの?ウチも探してみたんだけど無いのよ。」と私。すると「ないっ
て~」と電話口から後ろの誰かに言うA君の声。後ろから怒鳴り声が。
「誰がないって言ってるんだ!」A君のお父さんらしい。「**君のお母さ
ん。」と言うA君の声。「・・・・」無言。
「ちょっと、お父さんと代わってくれる?」と私が言うと「お前が出ろ!」と
言う声がして、お母さんらしき人が電話口に。
「昨日11時まで探したんですがないんです。家は狭いので探せないはずが
ないんです。」
「家ではゲームをさせていないので、ゲームを持って来てもできないんで
すよ。それに、息子に聞きましたが、持って来ていないようです。一応、
探してみましたが、自転車にもズボンのポケットにもありませんでした」
「でも・・」話がつかない。
 さすがに少しムッとしたが、もしかしてウチの子の勘違いかもしれない
とも思い、こちらも確めてみるという事で電話を切った。もちろん、そち
らで出てきたら必ず電話を下さいと言って。

 すぐに遊びに行った子供を迎えに行き、昨日の事を詳しく聞く。何時に
何をして、その後どうしたのか。たぶん、この子は持ってきていないな。
私はそう思った。ウソをつく時の目線が床を這うクセをしなかったもの。

 とにかく、子供の話ではあるけれど私は信じられる事実として伝えよう
と思い、電話をかけた。今度はA君のお父さんが電話口に出た。事の次第を
話したが、反応はすっかり次男が持って行ったような口ぶり。

「昨日、家に来たのは**君だけですし、ゲームの機械が2台とも無いん
ですよ。家は狭いんで探せばすぐに見つかるはずなんです。」お母さんと
同じ台詞だ。
「ちょと待ってください。ゲームの機械が無くなったんですか?」ここで
初めてソフトが無くなったのではなく、ゲーム機本体が無くなったことを
知った。
「そうですよ。二台ともです。」
「でも考えてみたって小学一年生が、それもゲームを持っていない子供が、
取り付け方もはずし方も知らないのに、持って来たって言うんですか?
その上、彼の自転車には荷物を乗せるかごも付いていないんですよ。どう
やって持って来るのか、教えて欲しいです。」
「そんなの知りませんよ。」

 ぷちっ。私は切れた。「じゃ、まるで盗人扱いじゃありませんか。」胸の
奥がぶるぶると震えている。
「でも、無いんですから。」
「私は昨日、玄関で迎えました。何も持っていませんでしたよ。それでも、
持って行ったとおっしゃるんですか?」
「家には持って帰らなかったんですかね。」
「途中で捨ててきたって事ですか?・・どうやって?先程も言いましたけど、
かごも付いてない自転車でどうやって・・。」私の言葉が終わる前に、A君
のお父さんが言った。
「もうこの話は止めましょう。気分が悪いですし、話がつきませんよ。」
「でも、このままではうちの子が盗人扱いのままじゃありませんか。」
「こちらは無いんですから、どうしようもありません。」とうとう、尻切
れトンボのまま電話を切った。

 友人に事の流れを話すと「向こうはゲーム機が出てこない限りだめよ。
そういう人間なんだわ。」と言う。確かにそうかもしれない。ゲームごとき
で、家族を上げて夜中の11時まで探すなんてよっぽど馬鹿げている。そん
な親だから仕方ないと思うしかない。

 次男と一緒に「どうぞ、出てきますように!」と手を合わせたその時、
玄関でベルが鳴った。ドアを開けるとA君とお母さんが立っていた。

「すいません、出てきました。ごめんなさい!」とお母さん。
A君は涙目で「すいません。」と頭を下げた。私は一瞬言葉を飲んでから
「ああ・・良かった!」とため息。直ぐに次男を呼ぶ。

「あったって!ゲーム、出てきたって!良かったね。」彼はにっこり笑っ
て「うん」と頷いた。
「お菓子の箱の下にあったんです。どうしてそこに置いたの?」と次男を
見て言うお母さん。全く~、それもウチの子のせいですか?
 次男はきょとん!「僕、そんなとこに置いてないよ。」そこまで、人の
せいにするかなぁ?ま、いいや。息子の疑いが晴れたんだし。

「とにかくお父様によろしくお伝えくださいね。本当に出てきて良かった
です!」と色々な思いを込めて言う私。帰りがけにもすいませんでしたと
頭を下げる二人。もういいんですと言いつつ、かなりひどい事を言って
いたお父さんはどうしているのだろうと思う。きっと、謝る気はないん
だろうなぁ。

 「出てきたね!やった~!」思わず息子と握手をした。「君を信じて良か
ったよ。」そう言って、ぎゅうっと抱きしめた。

 久々に感情的になって疲れた1日だったけれど、世の中いろいろな家庭
があるのだと勉強になった。

 自分の子供を信じる事と疑ってみる事、それは大切だけれど、真実を
確かめもせずに人を疑うようにはなりたくないと思った。

 そして、子供にも“そんな大人にはならないでほしい”と願った出来
事だった。



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14:01 Essay | コメント(9) | トラックバック(0)
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